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映画レビュー『アデル、ブルーは熱い色』

映画『アデル、ブルーは熱い色』より

©2013- WILD BUNCH – QUAT’SOUS FILMS – FRANCE 2 CINEMA – SCOPE PICTURES – RTBF(Télévision belge) – VERTIGO FILMS

※このレビューは映画本編のネタバレを含みます。

「アデル、ブルーは熱い色」は、第66回カンヌ国際映画祭を始めとする多くの賞を受賞したことで有名なレズビアンをテーマにした映画です。
今回ガールズラブでは、近年のレズビアン映画の代表作とも言える本作品をご紹介したいと思います!


【STORY】
文学を愛する高校生アデルは、年上の男子学生のトマと親しい仲であった。ある日、デートへ行く途中で女性同士のカップルを見つける。そしてすれ違っただけなのに、そのうちの一人の青い髪の女の子に衝撃を受け、魅了される。エマは青い髪の女の子のことが気になり、頭から離れなくなる。アデルは次第に自分のトマに対する気持ちは嘘だと感じ始め、彼に別れを告げる。ある日、アデルは学校で嫌なことがあり、同級生の男の子に連れられるがまま夜の街に出かけた。そこで偶然入ったバーに、以前の青い髪の女の子を見つける。年上の美学生エマだった。
アデルとエマの距離は急速に近づき、お互いに惹かれるようになる。二人は求め支え合う関係となった。
あるとき、二人はお互いの両親を訪ねる。エマの両親は、アデルを娘の恋人として温かく迎えた。しかしアデルの両親にとっては、エマは娘の友達でしかなかった。
二人はやがて大人になる。アデルは夢だった教師になり、画家となったエマのモデルをしながら一緒に暮らしていた。ある日、エマは自宅で自身の絵の披露を兼ねたパーティーを開く。そこでエマが画家のリーズと親しげに話す様子に、アデルは疑いを感じ始め…。



本作品の見所は、なんといってもドキュメンタリーのようなリアルさがあるところです。実際、監督のアブデラティフ・ケシシュ氏もリアリティーを重視して製作したそうです。撮影時、一般的な映画では考えられないほど同じシーンを何度も撮り直し、何日もかけてワンシーンを撮ったそうです。また、驚いたことに、二人の女優は脚本を一度しか読まずに撮影に挑み、メイクアップアーティストもつけず、ほとんど素顔で撮影したとのことでした。
そんなリアルさにとことんこだわった「アデル、ブルーは熱い色」。今回は、本作品の見所をリアリティーの追求という視点からご紹介していきます!


恋愛のもどかしさの再現

この映画では、もどかしい恋の過程がリアルに描かれています。それが如実に表れているのが、二人の視線の交わりです。出会いのシーンでは、アデルからはエマの魅力に対する衝撃と戸惑い、エマからは好奇心が感じられます。友達として仲良くなってからは、エマはアデルの顔をよく見つめ、そこから次第にアデルへの恋心に変化していっている様子を感じ取れます。しかし、二人にすれ違いが起きてからは、二人の視線は上手く合わなくなり、エマのアデルを見つめる印象的な強い視線もあまり見られなくなります。
目は口ほどに物を言うという言葉がありますが、考えてみると日常の中でその人の想いを一番物語るのは目ではないでしょうか。そんなリアルな視線の交わりを表現出来る二人の女優の演技は見物であり、見ている人を物語に引き込む力を持っていると思います。


対照的なアデルとエマ

映画『アデル、ブルーは熱い色』より
物語では、二人の性格や育った環境も含め、二人は相反するキャラクターとして描かれています。アデルは教師を目指し、安定した幸せを求めています。一方エマは縛られることを避け、自由を愛しています。違いがあるがゆえに、すれ違いも起こってしまうわけですが、自分と正反対のエマに心を惹かれてしまうアデルの複雑な心の動きがとてもリアルに描かれています。自分の中の常識を超える人に惹かれ、その感性を愛する。相手のことを大切に想っているのに、助言を素直に受け止められない。実際、アデルと同じような経験がある人も多いと思います。だからこそ、アデルの恋というのは、見ている人がその心に寄り添えるリアリティーがあるのではないでしょうか。


アデルの女性としての成長

映画『アデル、ブルーは熱い色』より

冒頭でも述べたように、本作品はリアリティーを追求するため、ほぼ素顔で撮影に臨んだり、あえてオフショットが映画のシーンとして使われたりしています。中でも多く使われているアデルが寝ているシーンでは、彼女の寝顔は口が開いて、少し歯が見える子供のようなあどけない表情をしています。一方、話題にもなった後半になるにつれて増える性描写のシーンでは、アデルはとても色っぽく大人の女性としての魅力をさらけ出しています。物語の中では何年も月日が流れていますが、撮影期間はもちろんその時間に比べたら遥かに短いものです。しかし、その短い期間の中で、二人の女優が持ち前の力で主人公の成長を表現しているところがこの映画の魅力の一つでもあると思います。特にアデルの、子供のような純粋な可愛らしさから、恋を知りだんだん大人の魅力も覗かせるようになっていく過程は、アデルの成長や変化を実際に見守っているような感覚になります。


最後に。
恋愛映画は、リアリティーが全てではないと思います。もちろん、現実にはありえないからこそ、物語の中だけの楽しみを味わえる作品というのもたくさん存在します。しかし、未だ一般の劇場で公開されるレズビアンの映画作品が多くはない中で、今求められているのは、女性同士の恋愛の物語を包み隠さずリアルに描いた作品なのではないでしょうか。
この映画は、二人の女性の恋愛模様だけでなく、アデルの自分の性に対する悩み・葛藤から、一人の人間としての成長も描かれています。どんなセクシュアリティの人であれ、悩み、そして成長していくアデルのリアルな姿に共感できる部分があるのではないでしょうか。

©2013- WILD BUNCH – QUAT’ SOUS FILMS – FRANCE 2 CINEMA – SCOPE PICTURES – RTBF(Télévision belge) – VERTIGO FILMS



Text by:anna
兵庫県・大学2回生
エマの青く美しく強い目に本気で惚れそうになりました。

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