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ガラス越しの二人。ー映画『キャロル』についての考察

映画『キャロル』メインビジュアル
(C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED
映画『キャロル』全国大ヒット上映中!/配給:ファントム・フィルム

※このレビューは映画本編のネタバレを含みます。

はじめまして、GL編集部のはなと申します。
セクマイの間でも今話題の映画『キャロル』を劇場に見に行ってきました。
僭越ながら、私の視点でキャロルについて書かせていただきたいと思います。



【STORY】
1952年ニューヨーク、クリスマスを間近に控えて街は活気づき、誰もがクリスマスに心ときめかせている。
マンハッタンにある高級百貨店フランケンバーグのおもちゃ売り場でアルバイトとして働く若きテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)。フォトグラファーに憧れてカメラを持ち歩き、恋人のリチャード(ジェイク・レイシー)から結婚を迫られてはいるが、それでも充実感を得られず何となく毎日を過ごしていた。

そんなある日、おもちゃ売り場にキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)が6歳の娘リンディへのクリスマスプレゼントを探しに訪れた。テレーズはエレガントで美しく魅力的なキャロルから目を離すことができなかった。キャロルもその視線に気づいた。そのままキャロルの応対をするテレーズはプレゼントを一緒に選び、イブまでに届くように手配をした。その際キャロルが手袋を忘れていってしまう。テレーズはすぐに手袋を自宅へと郵送した。するとキャロルから百貨店に電話がかかってくる──。


「心に従っていきなければ人生は無意味よ」

この映画は「自分の心に素直に従っただけ」という、当たり前のことを描いた恋愛映画でした。
自分の感情を押し殺すのは決して悪いことじゃないと思います。
ですが、自分に嘘をつき相手にも嘘をつき、嘘の塊となって生きることが『自分』の人生と言える のか、私には分かりません。
この映画の中でキャロルは、ありのままの自分で生きることが大切だと、改めて私たちに教えてくれました。

「キャロル」では、全体を通してガラス越しのシーンが多く見られます。
キャロルと別れた後にテレーズが車の窓越しに外を見つめるシーン、テレーズがカメラのレンズ越しにキャロルを見つめるシーン、鏡越しに二人で見つめ合うシーン。
これらのシーンは、人物を直接撮るときとは違った、二人のもどかしい感情を表していると私は思いました。
この考察では、このガラス越しのシーンについて想像を巡らせてみたいと思います。


「窓」越しに想うテレーズ

映画「キャロル」には、数々の窓が登場します。
雨が叩き付ける車の窓、レストランの曇った窓、騒がしいパーティー会場の窓……
窓は、中と外を隔てる単なるガラスです。
でも、窓を通して景色を見ると、何故か違う世界のように見えることってありませんか?
窓を通して人を見ると、実際以上の距離を感じたり、時には相手がミステリアスに感じることもあると思います。

私が気になった窓越しのシーンは、映画の冒頭でテレーズが友人の車に乗り、雨が叩き付ける車の窓を見つめるシーン。
窓越しにキャロルの姿を見つけ、目で追っていきますが、その姿は消えてしまいます。
テレーズはこのときに、どんなことを考えたのでしょうか。
もし自分が車に乗っていなければ、自分が車を運転していたら…声をかけられたかもしれない…
キャロルに想いをはせるテレーズの心情が、この窓越しのシーンに表現されていると思いました。


「レンズ」越しのキャロル

映画『キャロル』作中より

そのときの瞬間を写真という「紙」で残すために作られたカメラ。
今はスマホで写真が撮れ、ネットで世界中にシェアできる時代ですが、「キャロル」の舞台設定は 50 年代。
ネットはもちろん、小型の連絡機器もなく、テレーズもアパートに備え付けられた電話でキャロルと連絡を取っていました。
そして、もちろんカメラもフィルム式のものでした。

テレーズがキャロルの写真を撮る、印象的なシーンがあります。
二人が車でキャロルの家に向かう途中、キャロルは教会に車を停めて、子どものためにクリスマスツリーを買います。
キャロルの楽しそうな姿を見て、テレーズも車を降り、持っていたカメラを取り出して写真を撮ります。
テレーズが覗くレンズには、美しいキャロルの姿が写っていました。
自分の目の前にキャロルがいるにも関わらず、レンズというガラスを通して彼女を見つめるテレーズ。
そこにはキャロル以外の余計なものは一切無い、彼女と向き合える特別な瞬間だったのではないでしょうか。
作中でテレーズが、キャロルの写真を撮るシーンはこの一度きりです。しかし、二人が離れ離れになった後、テレーズがキャロルの写真を暗室で現像するシーンが出てきます。
その数々の写真には、キャロルへの溢れんばかりの愛情が表現されていました。

 

「鏡」越しの二人

初めて二人が体を重ねる前、キャロルとテレーズが鏡越しに会話をします。
鏡越しに見える二人の姿は、二人にとってどう見えたのでしょうか。
逃避行の果てに、夫や恋人に背いた罪人?これから進んでいこうとしているパートナー同士?
二人が自分たち自身をどう思ったかはわかりませんが、確かに愛し合う二人の女性がそこに存在していました。

もちろん、愛し合っているという事実があっても、今が変わるわけではなく、過去が消えたりするわけでもありません。
それでもこの二人の関係は、ハッピーエンドで映画が終わった後も続いていくことを予感させます。
他のカップルと同じように、同じ部屋に住み、一緒にごはんを食べて、ケンカをして仲直りをしたり…
そんなふうに、二人は共に人生を歩んでいくのだと思います。



余談ですが、初めて本格的な恋愛映画を観ました。
公開初日の1番始めの上映時間に見たのですが、化粧が落ちるほど泣きました。 その後に別の予定が入っていたのに、顔もメイクもボロボロで、そういうときに限って大きいタオ ルしか持っていなくて大変でした(笑)
ハンカチを持って行くことを強くお勧めします。
心揺さぶられる素晴らしい映画でした!


Text by:はな
最近はバンドが生きがい。就活中。


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